言語で簡単に論理的に説明できるような、明確なパターンがあるわけではない。 しかし、成績が悪くなったのはたまたまで、別に先生が悪い訳でもないし、勉強をサボった訳でもない。 「今、あなたは深い催眠状態のままです。
いわゆる優等生だった。
僕は、心の中でガッツポーズを取りながらふと時計を見た。
僕の中のもう一人の自分が俺となって現れたようだ。
「意識を集中していると頭の中がボーッとしてきて僕の言う通りに体が動いてしまいます」 「あなたの指はあなたの意志に反して次第にくっ付いていきます。
紀子は、催眠にもなれて既に大抵の暗示に対して非常に被暗示性が高まっていた。
3、2、1、はい」 「先生、本当に大丈夫?今日はもう家庭教師やめにして、帰った方がいいんじゃない?」 「うーん、そうね、ちょっと私も興奮しちゃったみたいだからテストがちょっとね」 「先生・・・」僕は申し訳なさそうにしていると、「そうね。
僕は、今日は学校が休みなので、これから趣味のパソコンでもやろうかと思っていたのだが、なんか、朝から気分が滅入るなぁ。
9「あら、一也君?おかあさんは?」 「なんかこの頃、お店の方が忙しいらしく、今日は居ないんです。
いいですね」「にゃん」紀子は、猫の人格のまま返事をして、僕はそのまま3つ数を数えた。
精神的に疲れる割に、満足のいくコミュニケーションがとれていない……」あるいは 「リアルで話をしていても、ずっとマスクで表情が読み取りにくい……」など、まさに コミュニケーションの二重苦、三重苦状態。 人格変換の場合も本人が持っているイメージに自分がなったと思い込んでそういう人格に変わるだけで、その人物を良く知らなかったり、全然違うイメージを持っていたりするとこちらの期待通りには行かない。
17他の科目はそれほどでもないのに、英語だけは酷いから、再来年は大学受験だし、今からやっとかないと間に合わないからね」 そういうと、僕の返事も聞かずにさっさと、美容院に出かけて行った。
まぁ、好意はあったにしろ、この様な感情はこの時露程も持っていなかった。
どうせ眼鏡をかけたがり勉風の男か、家庭教師センターから派遣されてくるいかにもバイトで教えますっていう輩だろう。 その時から僕の体の中で何かが目覚めたのだった。
12今日は、仕上げに人格支配を行い、今日から紀子は僕の奴隷として生まれ変わるのだ。
家庭教師を行っていた著名な人物には、劇作家のやがいる。
「誓います。
さぁ、眼を開けて私の眼を見て下さい。
そうすると、あなたは、今のようにすごく幸せな気分になれます。 そうしていると幸せだ。 塾と併用する家庭も増えている。
先生もこのペンダントの先をじっと見詰めてペンダントが揺れるイメージを心の中に描いて下さい」「ペンダントが揺れる。
ほーら、くっついた」 「先生、まだ緊張していますね。